TINKER TAILOR SOLDIER SPY
”一度目、あなたを欺く。二度目、真実が見える。”
2011年・イギリス&フランス&ドイツ
監督/ト-マス・アルフレッドソン
キャスト
英国諜報部/幹部
ジョージ・スマイリー
(ゲイリ-・オ-ルドマン)
ビル・ヘイドン
(コリン・ファ-ス)
パーシー・アレリン
(トビ-・ジョ-ンズ)
ロイ・ブランド
(キアラン・ハインズ)
トビー・エスタヘイス
(デヴィッド・デンシック)
コントロール
(ジョン・ハ-ト)
英国諜報部/スカルプハンター<実働部隊>
リチャード・ギラム
(ベネディクト・カンバ-バッチ)
リッキー・ター
(トム・ハーディ)
英国政府外務英連邦省
オリヴァー・レイコン次官
(サイモン・マクバーニー)
あらすじ(ネタバレあり)
東西冷戦下にある1970年代前半のイギリス。
英国情報局秘密情報部MI6は、ソ連国家保安委員会KGBと熾烈な情報戦を繰り広げており、ロンドンのケンブリッジ・サ-カスに本部を構える英国諜報部は、<サ-カス>と呼ばれていた。
サ-カスを仕切るチーフ、コントロ-ル(ジョン・ハ-ト)は「英国諜報部の5人の幹部の中に、何年も前からソ連諜報部<モスクワ・センタ->と通じている二重スパイ=腐ったリンゴ”もぐら”がいる」との情報を得る。
その真偽を確かめるため、”もぐら”の情報と引き換えにハンガリーの将軍の亡命に手を貸すことを決断し、実働部隊<スカルプハンタ->に所属する献身的な工作員ジム・プリド-(マ-ク・ストロング)を将軍が暮らすハンガリ-のブタペストに内密に送り込んだ。
しかし、その作戦は事前にソ連側に洩れ、罠にはめられたプリド-は狙撃され、死亡が伝えられる。
この作戦の失敗の責任を問われたコントロ-ルは、長年彼の右腕として働いてきた部下のジョ-ジ・スマイリ-(ゲイリ-・オ-ルドマン)と共にサ-カスを去ることになる。
サ-カスの新しいチーフには、コントロ-ルやスマイリ-がその信憑性に疑いを持っていた「ソ連軍部の高度な機密情報<ウィッチクラフト作戦>」を手に入れたと主張する幹部、パ-シ-・アレリン(トビ-・ジョ-ンズ)が就任した。
程なくコントロ-ルは謎の死を遂げ、スマイリ-は最愛の妻アンに去られて孤独な引退生活を送っていたが、英国政府の情報機関監視役であるオリバ-・レイコン次官(サイモン・マクバ-ニ-)の元に「サ-カス幹部の中に”もぐら”がいる」と密告する者が現れ、事態を解決するべく、自らがサ-カスから追い出したスマイリ-を頼り、”もぐら”調査を命じる。
スマイリ-は、信頼出来るスタッフとして、スカルプハンタ-の責任者であり冷徹で有能なピ-タ-・ギラム(ベネディクト・カンバ-バッチ)とロンドン警視庁特別保安部の元警部メンデル(ロジャ-・ロイド=パック)を選び、古ぼけたホテルの一室を作戦室として、秘密裏に”もぐら”調査を開始する。
手始めにコントロ-ルの自宅を捜査した後、”調査の女王”と呼ばれていた元調査課の職員コニ-・サックス(キャシ-・バ-ク)を訪ねる。
彼女もコントロ-ルやスマイリ-が解雇された日からまもなく退職していた。
ソ連大使館のアレクセイ・ポリヤコフ(コンスタンチン・ハベンスキ-)が、ソ連諜報部の大物スパイ”カ-ラ”の手先ではないか?と疑っていたサックスは、執念で見つけ出した証拠画像を幹部二人(アレリンとトビ-・エスタヘイス<デヴィッド・デンシック>)に報告したが、「判断力を失っている」と非難され、解雇されたらしい。
「古き良きサ-カスは消えた。良くない結果だったら、二度と来ないで。あなた達を昔のままに覚えておきたいの。」とスマイリーに告げるサックスの部屋には、共にサ-カスで働いたメンバ-らしい青年二人が仲良さそうに微笑む昔の写真があった。
”もぐら”解明の鍵となってくるのは、殺人・誘拐・脅迫など汚れ仕事をし、”首狩人”と呼ばれるスカルプハンタ-達が関わっていた事件だ。
ギラムの部下であるリッキ-・タ-(トム・ハ-ディ)は、トルコのイスタンブ-ルでの諜報調査中に行方不明となり、東側(ソ連)に寝返ったと噂されていたが、事実は違っていた。
ソビエト通商使節団員のボリスを有力な情報源と見てイスタンブ-ルに出向いていたタ-は、期待された成果を望めないボリスの人物像を掌握し、諜報活動を打ち切るが、直後に見かけたボリスの内縁の妻イリ-ナ(スヴェトラ-ナ・コドチェンコワ)こそ重要な情報を握っているという直感のもと、貿易商を装って彼女に近付く。
しかし、イリ-ナはタ-の正体を見破っており、サ-カスにとって最重要な情報との交換を条件に、西側への亡命を希望する。
タ-はサ-カス本部にイリ-ナから得た情報をタイプライタ-で打ち電報で報告するが、本部からの返信は「結論を出すには時間を要する」という時間稼ぎとしか思えない内容だった。
翌日、出勤したリッキーが見たものは、、、拷問を受けた後に見事な手捌きで殺された上司の亡骸だった。
リッキ-はイリ-ナに危険を知らせようとするが、バスル-ムで惨殺されたボリスを発見したイリ-ナは拉致されてしまう。
あまりにも早急な事態の展開に「サ-カス内部に”もぐら”がいる」ことを確信したタ-は、姿を隠して内密に帰国し、何としてもイリ-ナを助け出すために、スマイリ-に接触して来る。
スマイリーの自宅に不法侵入し、戻って来たスマイリーに「彼女を救い出したい。忘れられない。タイプじゃないのに」と泣きながら必死に懇願するタ-。
スマイリ-はギラムに連絡を取り、「諜報部の保管室で管理している昨年11月の当直日誌を極秘で持ち出せ。もし捕まっても、私の名前を出すな」と指示する。
この任務より前から、保管室のスタッフ達と良好な人間関係を構築していたギラムは、厳重なチェックも潜り抜け、持ち出し厳禁とされている書類を手に入れるが、アレリンに呼び出され、部下であるターがソ連に寝返り、多額の報酬を受け取っている事実を告げられる。
古びたホテルの作戦室から新たな作戦室に移動していたスマイリ-を訪ねたギラムは、そこで寛ぐリッキ-の姿を見て激昂し、タ-の前歯が折れるほど激しく殴り付けた。
スマイリーの指示のもと見かねたメンデルが止めに入ったものの、”大金に目が眩んで、東側に寝返ったスパイ”である元部下に対するギラムの怒りは治まらない。
しかし、スマイリ-に諭され、自身が保管室から持ち出した当直日誌を確認すると、タ-が打電したと主張する11月20日の記録だけがバッサリ切り取られており、タ-の話が事実であることを裏付けていた。
ショックを隠せず疲労困憊の様子のギラムに、スマイリ-は「ソ連諜報部の大物スパイであるカーラに一度だけ会ったことがある」と告白する。
スマイリ-が若い頃、自国に戻れば殺される立場にあったカ-ラに接触し、英国に亡命するよう一晩かけて説得し、煙草などを差し入れたが、カ-ラは「屈服よりも死を選ぶ」と言い残し、差し入れた物には手を付けず、唯一スマイリ-が最愛の妻アンから送られたメッセージ入りライタ-だけを盗んで、祖国に戻って行った。
当時から妻を溺愛していたスマイリ-は、自分と同じように家族がカ-ラの弱点だとして説得に当たったが、彼の弱点はそんなものにはなく、殺されることが判っていても自国へ戻るという選択肢を迷わず取るほど狂信的な愛国心に揺るぎのない男だった。
しかし、スマイリ-は、カ-ラの爪がアメリカでの拷問により全て剥がされていたことしか覚えておらず、顔すら思い出せずにいる。
プリド-の死後、彼の別名の銀行口座に大金が振り込まれていたことをギラムが掴む。
情報操作された結果、サ-カスはもう一つ、事実を誤認していたのだ。
ブタペストで銃撃され死亡したはずのプリド-が実は生きており、内密にイギリスに送還されていたが、サ-カスに戻ることは許されず、小学校の臨時教員として就職していた。
プリド-を訪ねたスマイリ-は、コントロ-ルからの依頼の内容、また”もぐら”が判明した場合、幹部5人それぞれに付けたコ-ドネ-ム(「ティンカ-(鋳掛け屋)」=パ-シ-・アレリン、「テイラ-(仕立屋)」=ビル・ヘイドン<コリン・ファ-ス>、「ソルジャ-(兵隊)」=ロイ・ブランド<キアラン・ハインズ>、「プアマン(貧乏人)」=トビ-・エスタヘイス)によって、当該幹部の名前を教えるよう指示されていたことを知る。
事件直後にプリド-はブタペストで拷問を受けていたが、その場に連行されて来た女性について聞かれ、プリド-が「知らない」と即答した途端、目の前でその女性は射殺、、、イリ-ナだった。
スマイリ-についても尋問を受けており、その時には敵国の人間が”アンより愛を込めて”と彫られたライタ-を手にしていたという、、、その場にカ-ラが居たことを確信するスマイリ-。
調査が進展していく中で、スマイリ-は次第に、”もぐら”の正体に近付いていく。
ブタペストでプリド-が銃撃された夜、コントロールに命じられてサ-カスで当直をしていた男は「銃撃事件をコントロ-ルに報告したもの指示を出してもらえず、スマイリ-の自宅に連絡を入れ、アンに伝言を頼んだ」と言う。
しかし、出張中で留守にしていたスマイリ-はその伝言を聞いておらず、混乱しているサ-カスには代わりにヘイドンが駆け付け、指揮を取っていた。
ヘイドンとプリド-こそ、サックスの部屋に飾られていた写真の被写体で、大学時代からの親友だった。
状況を聞いたヘイドンはすぐにハンガリ-大使館に電話を入れ、「プリド-を全力で治療しないと容赦しない」と圧力をかけていた。
「ヘイドンは、どういうル-トでプリド-が銃撃されたことを知り、サ-カスに駆け付けたのか?」と疑問を口にするギラムに対し、スマイリ-は静かに答える、、、「あの夜、彼は私の家にいたんだ」と。
以前、諜報部主催のパ-ティが開かれ、その場から突如いなくなったアンを探していたスマイリ-は、中庭でアンが男性と抱き合っているのを目撃したことがあり、その男性がヘイドンであったことに気付いていた。
パズルの謎は、誰が”もぐら”であるか?というピースのみを残す最終段階。
危険な任務となる為、ギラムには人間関係の身辺整理を指示するが、スマイリ-自身は、最愛の妻が失踪中で、整理の必要もない。
ブタペストの事件が敵国に仕組まれていたものであるならば、敵国が情報を得るために準備した情報をウィッチクラフト作戦として利用してきた幹部の中に、”もぐら”は居る。
スマイリ-とギラムは、故国に送還するための輸送機を横付けし、プアマン(貧乏人)を問い詰める。
結局、スマイリーを除く4人の幹部達は、ポリヤコフがソ連のスパイであることを知りながら、国に資金を出させていた隠れ家で自国の情報を流していたらしい。
そして、そのウィッチクラフト作戦の真の目的が自国の情報ではなくアメリカの情報を狙っている場合、一体どうやってそれを食い止めるのか?、、、スマイリ-は外務英連邦省大臣を屈服させ、”もぐら”に罠を仕掛ける。
イリ-ナが殺されていることを予測しながらも、スマイリ-はその事実をタ-には告げず、パリからサ-カス本部に電話をさせて揺さぶりをかけ、タ-の口を封じるために動く人物を彼等の隠れ家で待つ。
そこで、ギラムとスマイリ-が見たのは、、、。
コントロールとスマイリーを退職に追いやったアレリンも光秀の3日天下のごとく職を解かれ、もぐらは送還される自分がこの先どんな扱いを受けるか?を熟知していた。
残される者たちについてスマイリ-に託し、「道徳的かつ審美的な判断により東側についた」と言い訳するもぐらは誰かを待っていた。
その人物が来ることを感じていたもぐらは戸外に出て、向けられている銃口に自らを差し出す。
銃声が響き渡り、もぐらが倒れ、銃を持った男の目から一筋の涙が流れる。
一方、家に戻ったスマイリ-は、そこに妻の姿を見つけ、嬉しそうに微笑みかけながら寄り添う。
サ-カスに復職し、コントロ-ルが座っていた席にスマイリ-が着席。笑みがこぼれる。”La Mer”が流れている-fin
感想
英国の諜報員と言えば派手で流麗なアクションで魅了するジェ-ムス・ポンド。
が、、、この映画でのゲイリ-・オ-ルドマン演じる老齢の英国スパイは、かなり地味な登場。
辞任させられるボスの巻き添えとなり、「え?何で俺まで?」という何とも情けない表情を浮かべながらも、その場で一言も発することなく巻き込まれ退職した後、ボスと共に、古く広いガラス張りのビルの中を無言でひたすら練り歩き去っていく姿を、他職員は声もかけずにジロジロ見ているという、、、余りにも静かなプロロ-グ。
その後も、池なのか?プ-ルなのか?よく分からない茶色く濁った水の中を、スパイらしからぬ鈍い動きでノソノソ泳ぎ、ただスロ-に進行していく展開。
しかし、レイコン次官に呼び出され、”もぐら”調査を依頼される=復職&報復するチャンスが巡って来た時、「引退したんだ。君がクビにしたんだ。レイコン」と含み持って言い返した以後、頭脳戦に持ち込み変貌していきます。
若々しくたぎるギラムを調査チ-ムに加え、自分が布石した通りに物事を進めていく知性と色気が匂い立ってくる。
けれど、報われない孤独も隣り合わせ。
人を調査するプロであるサックスに「あの女はダメ」と評される妻アンを、スマイリ-はとにかく溺愛していて、明晰な頭脳も彼女に対しては全く役に立たず、ただの面白みのない男に成り下がっている。
そんな二人の関係を、アンは最後まで顔を見せないため、ゲイリ-・オ-ルドマンの見せる表情や立ち居振る舞いからだけで観客は理解していくことになる。
復職よりも報復よりも昇進よりも、アンが自分の元に戻ることがそんなに大事?と呆れるほどなカンジで。
でも、この辺りの容赦ない報われない状況もまた見所のひとつ。
カ-ラは、渡されたライタ-からスマイリ-の弱点を察し、何十年後かに切り札として使ってくる。
対してスマイリ-は、トビ-を問い詰める際にも拷問という手段は使わず、彼が一番恐れている故国への送還を突いて自白させる。
頭脳戦だけでなく、心理戦も加わってきて、サ-カスがカ-ラに対し、特別な警戒を示していたように、スマイリ-のこういった手腕に対し、敵国も只ならぬ脅威を感じていたのだと思わせるゲイリ-・オ-ルドマンの渋いキレっぷりの演技が炸裂。
銃を装填するスマイリーがまた良し。
正体のバレた”もぐら”が、「気付いていたんだろう?」とスマイリ-に聞いたように、敵国は”もぐら”の正体をスマイリ-達が既に掴んでいるのではないか?それを逆に利用しているのではないか?という疑心暗鬼から、ブタペストの事件を計画したのだろう。
そして、多分…スマイリ-は確かにある程度の予測を最初から立てていたようであり、それが”もぐら”を罠にかけた時には既に確信に変わっていたのであろう策士ぶりも醸し出している。
任務を遂行するためには、コントロ-ルにとって幹部達がただの駒であった様に、スマイリ-にとってギラムやタ-もまた一種の駒に過ぎなかった身勝手さもあり、結局、東側のカ-ラと西側のスマイリ-は似た立ち位置だ。
ラストで、狙っていた椅子に座り、満足気な笑みを浮かべるに到っては、どの辺りまで計算して動いていたんだろう?と考えるものの、心地よい爽快感。
否応なく孤独を感じさせるスマイリ-に比して、キュン!とするラブ・スト-リ-を引き受けるのが、リッキ-・タ-を演じるトム・ハ-ディ。
彼が登場して以降、より真剣に物語に引き込まれていく。
コントロ-ルとスマイリ-がサ-カスを追われて去るシ-ンと同じ様に、観客は再び窓ガラス越しにイリ-ナを見るカメラワ-クなのですが、これを見張っているのがタ-で、”スパイらしい展開になって来た!”感が出て来るのですが、伏線を張った繊細な描写が続く。
見張られていることに気付き、わざとボリスの怒りを買う行動に出て殴られたイリ-ナが何らかの鍵となって来ることを、観客もまたタ-と同じ様に予感する。
イリ-ナに恋をしたタ-はその後、純粋な表情を見せて観客を魅了し、スクリ-ン上には恋をしている男が四人登場して来ることになりました。
しかし、ここはどうしてもスマイリ-よりもタ-に感情移入してしまい、イリ-ナの無事を願っている最中、びっくりするほどあっさりと撃ち殺されるイリ-ナ。
その後のトム・ハ-ディの演技の切なさったら、、、、もう。
他方、、、スカルプハンタ-のギラムとプリド-も、それぞれ恋をしていたことも明かされていく。
ギラムは裏切った部下を一言も聞かずに殴り倒すし、プリド-は小学校の教室に迷い込んだ鳥を生徒の前で残酷に叩き殺す。
この凶暴性を持って考えれば、信頼していた者に裏切られた場合、彼等が即座に報復をするのも頷ける。
”深く考えるより前に動く”のが鉄則のチ-ムであり、”深く考えている間に殺される”からだと納得していたのですが、この誰よりも暴力的に男らしく描かれていたスカルプハンタ-達三人(ギラム、プリド-、タ-)が、別離を迎えて涙するというシ-ンには、本筋とは直接関係ないものの、かなり心を持っていかれます。
三人三様の涙…ただ、プリド-の涙を、これから惨めに抹殺されていくヘイドンを救うために引き金を引いたと解釈していたのですが、、、パンフレットによると、自分や仲間を裏切ったことに対する報復だったらしい。
疑われる幹部の一人であるコリン・ファ-スは、「英国王のスピ-チ」でも観ましたが、もう存在感が別格。
観る前から、殆どの観客がこの人を一番”もぐら”だと疑っているのでは?と思わせる。
原作者であるジョン・ル・カレ自身が英国情報局秘密情報部MI6出身で、またテレビドラマで放送されており、”もぐら”の正体が周知の事実であるからなのか?、映画の予告編では、誰が”もぐら”なのか?と謎解きがメインになっているものの、”もぐら”の正体に驚きはない。
容疑者である幹部達の詳細な描写は一切省略され、コントロ-ルが付けたコ-ドネ-ムにしか手がかりがない。
そのため、ティンカ-(鋳掛け屋)、テイラ-(仕立屋)、ソルジャ-(兵隊)、プアマン(貧乏人)の風貌に合う様なキャスティングがしてあり、誰が誰やら?と混乱することもなく、スト-リ-を追っていけるようきっちり設定もされている。
しかし、チェスの駒には、キング、クイ-ン、ビショップ、ナイト、ル-ク、ポ-ンという名前があるにも拘らず、容疑者達にわざわざ新しい名前を付け、スマイリ-に”〇〇”と付けたコントロ-ルの意図は不明なままだ。
スマイリーのコードネームはミニシアターで観た上映当時、一番信頼していた部下にコントロールはそんなコードネームを付けたのかと驚いた。
現在はその言葉は使用禁止となり、コードネームはなくただの「スマイリー」になっていた。
スマイリーがもぐらだった場合、、、プリドーは本名でもぐらを伝えないとならない展開。
容疑者に対する情報がなく空腹状態なのに、追う側であるスマイリ-やギラム、タ-、プリド-の人物像については綿密な描写がなされていて、彼等の誰に心惹かれるかは、道徳的かつ審美的な判断による。
雑記
本作品は、2012年8月12日pm17:00ー、シネマ・クレール丸の内で鑑賞しました。
しっかり道徳的かつ審美的な判断によりベネディクト・カンバ-バッチに落ち、その後も何度か鑑賞していましたが、今年2023年ギャガ・アカデミー賞受賞作品特集上映「上映リクエスト」投票結果により、この「裏切りのサーカス」が選ばれ、上映決定!
2023年8月19日pm14:15ー、シネマ・クレール丸の内にて再鑑賞。
同じく特集で上映されていた作品もいくつか鑑賞しましたが、観客数が一番多かったです。
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